なぜかネットで帝都物語の腹中虫を調べていたら。
寺田寅彦なんて、高校の現代文でも無いと読まないんちゃうかと、思いつつも、このような天災の時代ということもあり、「天災と国防」を。続けて「科学者とあたま」「読書の今昔」を読む。
天災と国防が書かれたのは、昭和9年。5.15事件と2.26事件のちょうど間ごろ。
東京では、関東大震災からの復興が進んでいるものの、軍部の台頭により、検閲的なことも始まり、世間は重い雰囲気になり始めています。
また満州事変の結果、満州に傀儡の帝国の建国が発表。世界はきな臭くなってきた時期です。
こんな時期に書かれた本のため、時代がちゃうんちゃうのと思って読みはじめましたが、面白いぐらい今とマッチしている。
関東大震災を東日本大震災や阪神大震災、新潟水害を各地の西日本水害と読み替えて、文章を現代調に崩したら、現代の論説とそのまま使える内容。
警告していることも、まさにテレビで評論家と呼ばれる人がよく言ってることが列挙されており、且つ、のど元過ぎたら熱さ忘れる大衆は仕方ないが、為政者は決してそのようになってはいけないという政府への警鐘。
評論家これコピーしてんのちゃうかと思いました。(そもそもコピーできるように読んでればいいが…)
また、検閲もあるため、表立って満州事変の長期化については批判は書いていませんが、天災をアナグラムにして、戦火の拡大による破滅へ進んでいることを危惧する文章にも取れます。これも今の世の中と微妙にリンクですね。
時代は繰り返すというのもあるかもしれませんが、まったく古びた感じがしなく驚きをもって読めました。
続けて、「科学者とあたま」「読書の今昔」を読みます。
これもまったく古びてない内容で、今の自己啓発本でよくある話が、昭和初期にこのように簡潔な文章で書かれていることに驚き。
自分の無学っぷりが心地よく感じれるぐらい学びがありました。
青空文庫面白いわ。