ちょっと前に話題になった、大学でのファシズムの体験授業をされている教授の本。
かなり興味があったのだが、やっと借りれました。
独裁は独裁者だけでは出来ないと、歴史は語ります、暴力やプロパガンダだけでは人々は従いません。
ならなぜ後になり、騙されていたとまで言う独裁者を持ち上げていたのでしょうか?
作者はファシズムの本質とは、権力へ集団で服従することによる下記の三点としている。
①集団の力の実感
②責任感の麻痺
③規範の変化
権威に服従することで他人の意思を代行する「道具的状態」に陥り、自分の行動に対する責任から解放され、敵や異分子を思うまま攻撃する「自由」をえる。
権威の後ろだてのもと解放感にひたりながら自らの欲求を充足する点にこそ、ファシズムの「魅力」を理解する鍵がある(原文まま)
ファシズムは、それが誰であっても簡単に暴走させる危険性があります。
この本は大学の授業で行ってきたこと「ファシズムの体験授業」を通して、ファシズムの危険性を認識してもらおうとした話です。
詳細は実際に読んで貰うとして、教授の総統就任を任命し、全員で敬礼や行進を行い。揃い物の制服を着て、反逆者を吊し上げ、敵を掲げて、総統の指示のもと攻撃する。
あえてナチス式の敬礼をしたり、サクラとバレバレな反逆者や、敵(仲睦まじいリア充カップル)に攻撃(全員でリア充爆発しろと糾弾?)と、パロディーと解るようにしています
しかし、参加した学生は集団の力を感じ、カップルを排斥する事への罪悪感は消え、達成感まで得てしまう。
授業なので深入り、暴走が起こらないよう細心の注意を行っていても、上記のようになるので(参加学生はファシズム的な思想とは縁がないにもかかわらず)
ファシズムによる熱狂の恐ろしさがわかります。
最後に、ファシズムは第二次世界大戦と共に消えたわけではなく、ポピュリズム、ナショナリズム、ヘイトスピーチ等に形を変えて、「責任からの解放」による「無責任の連鎖」を社会に拡大していく。
これに抗うことができるかが一人一人に問われている。
、と締められます。
振り替えって自分を見たとき「責任からの解放」に抗えているだろうか?
思考停止しないだろうか?
胸をはって大丈夫とは言えませんが、知識として、敵を知ることが出来た、面白い本でした。
家族や子供たち(ちょっと大きくなったら)にも進めたい一冊でした。