六甲タヌキを待つ銀のリングなどない

富士ヒルシルバーまであと47秒

ネタが無いので本の話 戦国の村を行く 藤木久志

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中世史は面白い。特に最近は清水克之の本の影響で、民衆史が面白い。
明治以降自由平等の考えが広まるまで、農民は虐げられるイメージはガラガラと崩れてます。
著者はその師匠筋にあたる研究者です。

戦国の世では村も城を持っていた。
農民たちは自分達の生命維持の装置として、集団としての村を作り、外敵や領主と対等に対峙します。

この時代、戦になれば戦場は兵士だけではなく、ゲリラ戦や略奪、売買のプロが闊歩する混沌の空間と化していましたが、この中を逃げ惑うでなく、生き抜く実力をもった集団として村を分析します。

また領地として、守らせるため領主に戦費の負担や、飢饉(中世は世界的な寒冷化で凶作がまめに起こっていたことは知られています)へのリスクヘッジが出来ない領主は見限るなど、なんとも逞しい。

そういう驚きのある荒々しさの一方、中世の村の年中行事から今の習俗の原形を見るなど、変わらぬ営みの連続性が垣間見えたり。

なかなか知的好奇心を揺すぶられる内容でした。

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