ローマ連合の反乱と剣闘士スパルタクスの反乱、それにつづくアフリカでの内乱とアジア方面の混乱。
ローマ連合の反乱以外は局地戦ですが、戦争状態の続く共和制ローマに、軍事による権力をもつ人物が現れます。
本来ローマの軍隊は防衛軍であり、市民から血税として召集され、指揮官も一年任期の執政官(二人任命され権力を分散する)と、執政官から任命を受けた者。
緊急時の独裁官と言う権力を集中させる仕組みもありますが任期は短く、権力の固定化を避ける仕組みでなんとかやってきました。
しかし、防衛軍から、遠征(侵略)軍として、質の変わってきた軍隊と、地中海全域に拡がる領域(一年単位で対処困難)と、制度が着いていかなくなっていました。
前巻でマリウスの行った志願兵の制度と、指揮官の任期の長期化で、軍団を私兵として、それを権力基盤にする人物が現れます。
この巻で活躍する、スッラとポンペイウス。二人とも天才的な軍略の才を持ち、軍事力による政権の掌握をおこないます。
スッラは、独裁官として権力を振るいますが、基本保守的な考えで元老院を強化した後、自分は権力の座から降りて、野に下ります。
彼は古き良き寡頭制政治を望んでいたのですが、彼が改革の為に選んだ独裁と言う手法に世の中は流れていきます。
スッラの死後、彼の後継者となったポンペイウスは、権力の集中を目論見、偉大なるローマ人にもっとも近いと言われますが、彼ではない誰かにその座は与えられます。