佐藤優の本を好んで読み始めたのは、どうも2015年だった。
そのわりには、一番の代表作の本作は初見。多作な著者であるため、結構当たり外れ(同じような内容な事多し)あるんですが、この本は一番おもしろかったかも。
事件、法廷小説として、とても面白い。著者の専門的だが、わかりやすい(国会議員に理解してもらう訓練のたまものなのかな)文体は、ハラハラしながらも知的好奇心を刺激されます。
本人が達観しすぎてる感ありますが、それは本人の資質なのでしょうか?
佐藤優と鈴木宗男のロシア疑惑は今となってはかなり昔の話で、当時はムネオハウスやラスプーチンやらのキーワードをニュースで垂れ流していた印象しかなく、いつの間にかわすれられてましたが、あまり事実に興味がありませんでした。
しかし、対ロシア政策の大幅な後退が、なんかよくわからん権力闘争でなされてるのは、複雑な感じです。
作者のプロとは何かと言う考えと、仕事柄の複眼的な思考はとても面白いのだか、自分に取り込むには…むずかしいね
情報の人間としての流儀はこの後の「諜報的生活の技術」に繋がっていきますが、こうやって磨かれていったのかと読み取れるのは面白い。
組織人としては、「組織の掟」の原点とも読めます。しかし、本人はしかたないと思ってるのはなんともなぁ。
勝ち目の無い戦いですが、自分の納得する(国益として)落とし処へと組織から切られても戦い抜く
このようなプロとしての矜持をもち、歴史が評価できるように裁判を戦う。
もう、ファンタジーやね
そんな態度も物語チックでワクワクするんだろう。
熱いポリティカルサスペンス好きならおすすめです。
ちなみに、佐藤さんは人相は強面なので、テレビ受けはしなかったろうな…(´Д`;)