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ネタがないので本の話 足利尊氏と関東 清水克行

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歴史学者の清水克行さんの本は面白い。今のところ外れなし。

 

元々は高野秀行さんとの共著
「世界の辺境とハードボイルド室町時代」で、知り、はじめは「室町時代マジヤバイ」のと、面白い時代を研究されてる学者さんやな程度だったのですが、「耳鼻削ぎの日本史」や、「喧嘩両成敗の誕生」さらに、要潤が怪演していた「タイムスクープハンター」の時代交渉など
どれも知的好奇心をグリグリされる内容です。

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ja.wikipedia.org

そんな清水さんの、足利尊氏本なら読まざる得ない。

 

足利尊氏の史跡を辿ると本の説明にはありますが、史跡紹介はさらっと。


足利尊氏の(略してない)略歴と、足利家先代の異常な経歴についてがっつりと言う良い意味のタイトル詐欺

 

清水さんのスタンスとして、一次資料(証書や、本人記載として伝わっているもの)を重視し、後代の歴史書なども、書いた人の政治的スタンスから分析するなどフィクションを無くし、定説から人物を探っていくのがとても面白い。

 

今読んでいる、私本太平記では、尊氏殿のキャラクターは、内省的であるが、秘めた行動力で、先祖からの源氏再興の悲願に絡めとられながら武家政権確立の布石を打っていく感じで、あまりカリスマ性やらは見えない。

 

しかし、史実からは気っ風の良さと肝の座りが尋常では無い戰場でのカリスマ性。
反面こだわりやら思慮はあまりなく、権力欲も薄い。感情の起伏が激しく、根っこには虚無感すら感じる…とても政治家として登りつめる風のしない人物像が見えてきます。

 

母方の親族に引きずられる形で鎌倉から離反し、弟や家老衆に引きずられる形で天皇から離反し、対抗策として、もう一人の天皇を立て結果として政権の首魁に祭り上げらる。
さらに弟と離反し、妾腹の息子含め骨肉の死闘を繰り広げる。

 

なんて悲惨な巻き込まれ型主人公。


なんか本人的には全く望んでいない感じで晩年の歌でも、幕府を立ち上げた絶頂期の筈なのに、「かりそめの草の庵にいる」など読んじゃう。

 

小説よりもヤバいよこの人。

 

ちなみに私本太平記の、源氏再興の悲願を語った先祖伝来の文章の元ネタは、尊氏の配下の書いた歴史書ですが、本物を忠義(尊氏弟)から見せて貰ったと


なんか、幕府の正統性を語るプロパガンダ文章にしか見えません。


広めてたのも、尊氏、忠義兄弟と言われており、先祖の悲願もかなりのマユツバ…

 

他に忠義論とか、怪死しまくりの先祖の考察とか、ますます室町時代が楽しくなる一冊でした。

 

ちなみにこれを読んで大河の真田広之ほど真面目な感じではないな。
魅力的やけどなに考えてるんか判らん人…おげんさんとか?

 

ちなみに死闘を繰り広げる息子の大河での母親役は当時可愛かった宮沢りえでした。