一気読み、とても面白かった。
爽やかでどこか青臭いディストピアサスペンス?
虐殺器官の伊藤計劃の遺作。虐殺器官の後の世界の話だが、独立はしてる。
前作の混沌に覆われつつある世界の物語から、管理による安寧(停滞)に覆われた世界の物語。
ネタバレしないように、細かくは書かないが、調和させられた世界から逃げ場を作って生きてきた主人公が、世界のあり方に係わる事件に、個人的な動機で巻き込まれる。
世界は大変だが、あくまでもごく個人的な問題となるのが心地よかった。
前作もそうだが、読後感は妙に爽快。
溢れるギミックや世界観描写にも関わらず、サクサク進む読み心地。
根っこはロードムービーと言うか青春小説だからなのか。前作とその辺りの感覚はおなじ。
久々に次も読みたいと思う作者さんですが、夭逝されたのが惜しまれます。
けっこうおすすめ。