アマゾンノンフィクション一位、ビジネス書界隈のブログとか、書店の平置きとかでちょっと気になっていた一冊。
「答えようとするな。むしろ問え」とAI時代の学びについての問いかけ。
「勉強する意味」を考え、「学び」について考え問う道筋を「冒険」に例え、子供の概念の発見から、管理教育の発明、それを効率化していく中でのライフステージと言う縛りへ。
過去の本の作者たち(教育を形作ってきた者たち)との対話と言う形で振り返り世界をよくするための発明が、本質の摩耗と時代の変化の中で縛りに変わっていくことを紐解いていきます。
・すべての子供に教育を与える使命。
・学び、遊び、働きが三つに分割されれてしまったことによる悲劇
・基礎、失敗に対する思い込み。失敗をさせないことから失敗できない人に。
・純粋な子供を守ることから、有害なものをあらかじめ排除する。
・子供を守るために始まった特別扱いが起こした、子供と言う差別。
・一部の人間のための高コストの教育から、効率化によるすべての人に提供できる教育へ。
・段階的な弟子の制度から学年ごと教育へ
・管理は監視(監獄のアイデアを教育へ)
・能力の考え方は、帝国主義やナチスのホロコースト根拠になった優生学からの社会進化論が根底にあること。
・精神病の鑑定で、人間の脳の働きの一部だけを測る、知能テストが能力信仰とつながってしまったこと。
・結果論での評価に過ぎないことが、能力と評価される。そのことを詭弁論法である循環論法から能力を上げれば結果が得られると信じる(能力信仰)
・才能は結果論から起こる成果バイアスによる後付け評価に過ぎない。
・結果論で人を評価する社会は、リスクを取らない(取れない)社会。
・「機会の平等」「能力別学習」「実績重視」の3つで構成される、能力がすべてを決定する社会(メリトクラシー)は、元々ディストピア小説のネタ。
・「頑張ればみんなできる、出来るようになればみんな幸せになれる」→絵に描いた餅。皆不幸にしかなれない。
・メリトクラシーを考えると最強はAI
・善い事と悪いことは正反対の二つの概念ではない。善悪も「結果に対する後付の評価」
・評価軸から良さを認めること(アプリシエーション)へ
・「役に立つか立たないか」に意味を見出す習性から離れる。「評価」から脱却する。
・物事を「リフレーミング」して「新しい意味」を見出せるのは人間だけ。
・常に自分の頭で考える。
・問題が高度に複雑化した今は、「解決策」ではなく、「問い」そして「新しい問い」を
・アンラーニング「自分が身に着けてきた価値観や常識などを一旦捨て去り、あらためて根本から問い直し、その上で新たな学びに取り組み、すべて組み替える」
・自立とは依存できる先を増やしていくこと
・ギブアンドギブン。豊かさは分け与える。
・世界は自ら変えられる
・対話こそが自分たちの住む世界を変えていく最良の方法
・大きなビジョンを描く、自分が生きている間に実現できなくても、円の一部にしかなれなくても、後に続く者たちがその円を完成してくれる。
ちょっと最後のライフロングプレイグラウンドの概念は理解できなかったが、なかなか最後まで読ませる本でした。
子供たちになぜ勉強するのか話すとき、今まで通り答えるのは難しくなりましたが、一緒に問いを立てていくんでしょうね。
読む人によって色々と「問い」を与える一冊でした。
作者は「答え」は出してませんので。